こいつの目は、大切な一族の話をするときだけ子供になる。
誇りと自信と(反吐がでそうだが)愛に目がくらんだ強欲な子供の瞳だ。
そのたび、楽しそうに会話するふりをして、心のそこで馬鹿にして大笑いしている俺は相当ひどい人間だと思う。
思いつつ、俺は大馬鹿でたいそう哀れなこいつを笑い続けている。
こいつは、一族を愛している。
一族のヤツらは愚かだとどんなに周りが思っていても、こいつはそんな言葉を聴きもしない。
盲目的に、誰よりも、自分よりも一族を愛している。
こいつのパートナーになって、嫌というほどわかった。
こいつは、いつだって一族を何よりも愛している。
じゃあお前を大切に思うものはいるのか。
お前を一番に考えるものはいるのか。
誰よりもお前を大切にし、お前を無条件に愛してくれるマリアみたいな母親はいるのか。
誰よりもお前を慈しみ、力強く立ち上がらせてくれる大地のような父親はいるのか。
お前は、誰に愛されているんだ。
(あぁ、やるせない)
そう思うたびに俺はこいつが一番愛しくて世界で一番大切だと思うが、俺というエゴイストはこいつを大好きな自分を一番愛しているから、俺はそんなたいそうな存在にはなれやしない。
(あぁ、本当に)
耳を澄ましてもいないのに聴こえてくる雨音が、絶望を宣告している。
俺は、何にすがったのかわからないが、唯一、愛しい魔物と俺をつなぐ魔本を抱きしめた。
(どうしようもなく、悲しい)
―――誰にも愛されていない魔物が、ただただ悲しかった。
でもコイツは知っているのだ。誰にも愛されていないことを。
それでもコイツは何も捨てられないのだ。まるで自分には不似合いな玩具を渡されても、簡単に捨てることが出来ないのだ。
必死に、手に入るもの全て抱きしめて、愛されたいと密やかに願い続けているんだ、お前は。
(本当に、悲しい)
悲しい、そうしてどうしようもなく愚かな魔物だと、俺は目の前のこいつを心の中で笑った。
笑うしか、俺にはこいつの愛を理解できなかった。
だって俺はもう何もかも捨ててしまった空っぽの人間だから、何もかも手に入れようとしているお前なんて、理解できない。
バニキスがリオウの一族に対しての愛を真剣に考えていたら。のお話。
きっと普段は真剣に考えてもロクなことじゃないですよ。きっとあのもふもふする毛について真剣に考えてるんだ!(笑)
それにしてもライムライト結構書いているなぁ…なんだかネタが似たり寄ったりでそれってどうなの(苦笑)
や、書き方の問題か。そうか、そうか…(笑)