くんくん、と。
まるで犬が得体の知れないものの正体を見極めようと得意の嗅覚を発揮する、あれに良く似ている仕草でロデュウは抱きかかえたチータの肩に顔をうずめた。
「・・・何?」
さすがに、チータもロデュウのこの不可解な行動には戸惑った。
眉根を寄せてロデュウを見上げる。
対してロデュウは、ん、と煮え切らない返事(とすらとれないのだが)を返すと、不意に勢いよく空中に飛び上がった。
突然訪れる抵抗感と浮遊感は人間の、しかも弱さを伴った女性であるチータには少々負担が大きいのだが、空を飛ぶことが当たり前のロデュウに気遣いができるはずもない。
チータはだからなんの不満もこぼさず(そもそもそんなことを言ったことはないのだが)おとなしくロデュウに従った。
人気のない空に二つの影が躍り出る。
見上げれば、チータの眼前に、なんとも晴れやかで形容しがたいほど鮮やかな青空が圧倒的な存在感をもって身近に迫っていた。
絵の具の青みたいな色、と全く人間らしい感想を抱きながら、チータは軽く目を見開く。
いつもならば荷物を扱うように無造作にチータを抱きかかえているロデュウが、いきなりふわり、と両手でチータを抱きかかえたからだ。
おかげで、ロデュウとチータの距離がぐっと増す。これには、さすがにチータも表情を変えて驚いた。
「・・・何?」
先ほどと同じ質問をすれば、返ってきたのは空を飛ぶ前にされた、ロデュウのおかしな行動。
だから何、とロデュウの顔を思い切り押しのけたい気分になったが、不安定な体勢のまま空中で暴れるのは危険すぎる。
「ロデュウ?」
だから、もう一度問うた。顔を上げて視線を向ければ、ロデュウはひっきりなしに首をかしげている。
何かを悩んでいるのか、考え込んでいるのか。一拍、二拍。
そうして、ロデュウは突然、的を射た答えを得たのか、あぁ、と納得したような晴れやかな表情を浮かべた。
チータが訝しげに目を細めれば、ロデュウは楽しそうに口角を吊り上げて、大きく羽を広げる。
「なるほど」
強い風にあおられて、思わずチータは瞳を閉じた。
表情は見えなかったが、絶対笑みを浮かべていると確信できる程、浮かれた声が耳元で響く。



「空の匂いだ」








ロデュウ様が変態くさい(笑)
あとはロデチタを常に勘違いしています。
お姫様抱っことか(笑)永遠のロマンですよ。ロマン。