人は魔物を救えない。
魔物は人を理解できない。





嗚呼、この距離感のなんと切ない事。





手を伸ばせばいとも簡単にその小さな手はつかめてしまうというのに。
こんなにも貴方と私の間にある距離は狭いというのに。
その中に入る事は許されず。
その孤独に触れる事は許されず。
―――そうして今日も貴方は一人きり、夢の中で泣くのでしょうか。
そうして今日も貴方は一人きり、私以外の誰かの手を待っているのでしょうか。





痛みにすら気付かず笑う貴方に教えて差し上げたい。
その足元はもう傷ついていて、立ち続ける事も困難な事を。
貴方が望む「空」は所詮用意された偽物だという事を。
貴方は何よりも孤独な存在である事を。





――――嗚呼。

なんという、距離感。
それを埋める事すら適わず、あなたの心臓から流れ続ける痛みの証を私は今日も見て見ぬ振りして背を向ける。
――――せめて、笑おう。
せめて、せめて孤独に気付けず涙で流す事も出来ぬ貴方のかわりに、私は今日も世界の神を殺し続ける笑いを浮かべよう。
貴方がいずれこの世界に負けてしまったとしても
私は貴方の変わりにずっと神を、世界を見下して、





笑いましょう。


(そう、だから貴方はどうぞそのまま前を向き続けて)
(何も出来ない私ですが貴方を裁く神は全てこの手で殺して差し上げますから)









バニキス独白。だから何故夏樹が書くライムライトはこんなに脆いという…(笑)
基本的に自分の文章は長いと飽きがくるのでこれぐらいが適度な気もします。
それにしても神とか空とか、抽象的な言葉ばっかりつい選んでしまいますが、コレ!という実体的なイメージは実は持っているようで持っていないので(何)ご自由に読んでください…(汗)