あんたは、俺にはじめて優しさを与えてくれた人で、
初めて孤独を消してくれた人で、
初めての[家族]になってくれた人で、
俺を救ってくれた人間だったんだ。
なのに、もう隣にアンタはいない。
馬鹿野郎。
なんで俺を庇って死んだんだ。(おれが調子に乗った結果なのに、どうして。)
馬鹿野郎。
なんでお前は俺なんかに「案内屋」の名を託すんだよ。(案内屋はアンタしかやれないのに。)
(アンタがいなくなってしまったと、益々実感してしまうだけじゃないか、こんなの。)
なぁ、オヤジ。
オヤジ、オヤジ、オヤジ。
あんたは、俺の世界で一番大切な人で、唯一の家族だったんだ。
だから、逝かないで。
逝かないでよオヤジ。
またこの扉をあけて、
「ただいま」
ってあのおおきい声でこの家に帰って来いよ。
お願いだから。
オヤジ。
(それに答える声はもうなくて、俺は泣きそうになった)